太陽の子  春の号 bP35   2011年4月     HOMEへ戻る     バックナンバー



目 次

1,今だから強まる思い / 黒澤一則

2,研修を終えて / 藤田恭子

3,北欧研修について / 鎌田桂子

4,日立守る会だより / 椎名幹子・沼田洋子・興野幸子・藤枝道子

5,お知らせ/ご寄付ありがとうございました

6,編集後記



今だから強まる思い      TOPへ

黒澤一則

  庭の紅梅が咲き始め、近くに寄って眺めているだけで春の穏やかな日差しに身も心も包まれる心地よさを感じる今日この頃です。
依頼を受けた「太陽の子」への原稿が書けずに悩んでおりましたが、このままでは迷惑をかけてしまうと思った時、浮かんだ言葉が 「ノーマライゼーション」でした。 この言葉は、1950年代のはじめにデンマークのバンク・ミケルセンが知的な障害を持つ子供のことを考えて提唱したことに始まり、 スウェーデンのニィリエが具体的に定義したとされています。その中にある「ノーマルな生活のリズムやノーマルな経験」が何を意味 しているのか。「何がノーマル」なのか理解できませんが、「ノーマライゼーション」とは「人の持つ心身の特性は、それぞれ優劣は あっても、その人が持つ個性なのです。そう理解して、ともに生活できる、人に優しい生活環境をみんなで創造しましょう!」と言っ ているのだと解釈しています。そう考えた時、自分がどう人や社会と接すればよいか、どう接するべきなのか、その答えが見えてくる 気がしています。
昔祖母から聞いた忘れられない言葉に「それからその次は、それからその次は、永遠だよ。永遠だよ。」があります。その意味は「止 まるところを知らない人の欲の深さ」を言っていて、もう一つの意味は「これで良しではなく更に上を目指して努力しなさい、と諭し ているのよ。」と教えられました。今は亡き祖母の言葉を想い出し、この言葉の意味を改めて考えています。
桜の季節を前に退職する今、これまでの経験を無駄にせず、これからは「私にできることでよろしければ!」の気持ちで皆様との係わ りを大切に社会参加したいと考えております。
皆さまのご活躍をお祈りしております。
(元日立市障害福祉課長)


研修を終えて      TOPへ

看護師 藤田恭子

1月13日から15日の三日間、重症障害児(者)医療講習会を東京で受けてきました。とても多くのことを学んだ三日間でした。
私が一番印象に残り、自分の今までの行動を見つめ直すことができた学びがあります。それは吸引です。気管切開をしている方やそう でない方も重症心身障害者の方は痰の喀出をスムーズに行うことができません。喉の奥の方にあるのになかなか出せない。こういった 時が多くあります。そういった時に私は早めに吸引をしなければと実施していました。しかし今回の研修では吸引はなるべく最終手段 で実施するとの内容でした。その理由として、吸引は痰を吸いこむために圧をかけます。その圧は痰だけではなく粘膜も吸いこみ、 傷つけてしまう可能性があるとのことでした。さらに、圧をかけ続けることで肺胞がつぶれてしまい、肺そのものの機能を低下させて しまう可能性があるということです。吸引をしている間は呼吸もできなくなるので本人の苦痛も大きいです。こういった事を考えると、 痰の貯留が認められた場合、まず吸引ではなく、別の方法で喀出することを試みます。体位変換(仰向けよりうつぶせや横向き)や、 加湿(痰をやわらかくする)吸入、体を動かす、全身的な水分補給等があります。吸引しなくてもすむ状況をどのようにつくっていく かをしっかり考え実践する。これが基本的な考え方ということを学びました。自分は今まで利用者さんに苦痛を与えたり、悪い状態に させる医療行為をしていないか振り返りました。そしてすぐに吸引をするのではなく、多くの工夫や本人の苦痛を和らげる方法を深く 考え実践していかなくてはと思いました。普段過ごしていて、外部の情報を取り入れないとそのままの状態で進んでいってしまった。 研修というものの必要性を実感しました。
また、全国には重症心身障害者(児)の入所、通所、病院に勤める多くの看護師がいることも大変嬉しかったです。看護技術や様々な 場面の対応など、夜遅くまで話すことができる大切な時間をいただきました。一番盛り上がったことはやはり利用者さんと過ごす楽し さや喜びを話した時でした。「そうそうそう!」「楽しいよね〜。」「日々変化するから毎日が喜びだね。」など、沢山の嬉しい楽し い話を共有することができました。
今回の研修で学んだこと、全国の重症心身障害者(児)の施設、病院に勤める看護師と分かち合えた喜びや楽しさを忘れずに、また今 日から、太陽の家の仕事を行っていきたいと思います。


北欧研修について      TOPへ

鎌田桂子

昨年の一年間は「日立市太陽の家」が開園40周年を迎え、それを記念したたくさんの心に残る行事を行うことができました。改めて人 と人との繋がりや、思いやり、優しさに触れ、一円玉募金の意味や太陽の家ができるまでの経過を胸に刻むことができました。そして、 太陽の家を愛し支えてくださった全ての人々に感謝をしながら過ごした一年にもなりました。
今春、年度が変わってしまいますが長い間温めてきた計画である北欧研修を実施する運びとなります。
今回参加する太陽の家の理事、職員と共に、ワークスたんぽぽの職員8名も同行します。福祉先進国への研修は初めてということで、 北欧の福祉についての情報を収集して事前に備える事で現地の施設スタッフの説明への理解に繋がればと思っています。
日程についてですが、スウェーデンでは、スウェーデンの障害者ケアに関する概要の基本的理解を深めるためのSQCセミナーに始まり、 ストックホルムにあるデイアクティビティセンターのレクチャーを受けた後に視察となる訳ですが、ハプティックセラピーやスヌーズレン といった個々の状態に合わせた活動内容を実際に見学できるのが今からとても楽しみです。
デンマークでは最初に自治体の職員からレクチャーを受けます。その後コペンハーゲンにあるハビリテーション(先天的障害)センター を視察、様々な種類の個別トレーニングを理学療法士、言語療法士をはじめとするスタッフから学んでくることができればと思っています。
昼食は障害者が就労しているレストランにてその様子を見せてもらい、直接関われる場面があればと思っています。
また、NPO法人日立太陽の家でも事業展開を予定しているケア・ホームのためにも重要なグループホームの見学を予定しています。
福祉の先進国である両国での障害者への支援がどんなものであるか、また施設職員の関わり方を間近で見学できることなど今からとても 楽しみにしています。
スケジュールはハードですが、しっかりと心に刻み今後に生かすことが我々の使命であると思っています。次の機会にまたご報告できれ ばと思っています。
※今回の東日本大震災の影響により、予定を数ヶ月遅らせて実施することとなりました。




日立守る会だより

我が家のベートーヴェン
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椎名幹子

この2、3年風邪もひかずに体力バリバリの将光です。以前は子供番組等の音楽を聞きながら、ラジカセを押し廻したり、テレビを観て 楽しんでいる程度でしたが、キーボードと出会ってからは、作曲に目覚めて、朝起きるとすぐにキーボードを探し、無ければ「早く出し て!」と催促し、自分でスイッチを入れて鍵盤を弾き、次に叩きの繰り返しで、その場限りの作曲で譜面はいつまで待っても出来上がり ません。又、音量が大きいからと親が下げると、すぐにスイッチを切り、又、入れて元の音量に戻します。そのうるさい事。眠くなると、 キーボードの上に頭を置き、片方の手で押さえつけての昼寝です。きっと寝ている間に隠される事への自衛の策と思いますが、その寝姿 を見るだけで笑ってしまいます。一番のお気に入りは、七代目「アンパンマンのキーボード」の将光です。

共に20年

沼田洋子

年内に産まれるかな?予定日は12月29日。初産は遅れると聞くので年明け早々になるのかな。など…不安と期待の中12月13日、 立派な体格で誕生した。同じような赤ちゃんがベッドに並ぶ中、3400gの彩香を見つけるのは簡単でした。沢山の夢を持ちました。 しかしながら未だ叶わぬ夢の途中です。
生後8ヶ月で障害を背負って生きねばならぬ事を告げられた時の胸の苦しさは忘れられない。でも、今がどん底ならもうこれ以上の辛 い事は無い事を信じて頑張ろうと思った。…が、続きは起きた。それまで何とか、むせながらも口から食べてきたが、咳込む体力消耗 が勝り体調維持が困難になった。生き続ける為には食べる事を諦めた方がいいと宣告をされた。先には一つもの光が見えなくなった。 強い身体で産んであげられなくてと罪悪感で押しつぶされそうになった。気持ちの切り替えには時間が必要ではあったが、どうせ生き るなら楽に生かしてあげられる方がいい。親子が共に笑顔で居られるように…と悩み抜いた末に胃ろうに踏み切った。今では体重も増 加の一途をたどり、成人を迎えられた。
太陽の家と出会い、楽しい日々を過ごしている今は幸せです。生きて居てくれる事の素晴らしさに、ただ、ただ感謝です。我が娘、愛 しい彩香素敵な20年をありがとう。そして…成人おめでとう。

成人おめでとうそしてありがとう

興野幸子

生後2ヶ月目で発病し、入院3ヶ月、どうなることかと家族みんなで心配しましたが、元気に退院できましたね。
小さい不自由な体で、泣いたり笑ったり、時には大声を出したりと一生懸命自己主張していましたね。たくさんのお友だちと出会い、 いろいろな体験をしてきましたね。これからも元気に家族とすごしていきましょうね。
これまで支援してくださった方々に感謝いたします。ありがとうございました。

息子の一人暮らし

藤枝道子

水戸養護学校を卒業してからいつも口ぐせに何時かは一人で自立生活をしたいと話していました。でも親として一人暮らしなど 絶対無理な話で出来ないと思っていました。
体が重度でトイレをはじめ、何をするにも人の手を借りねばならず、自分で出来ることと言えば、トーキングエイド、「声が出る」 ヘルメットに棒のついたもので話をすることだけです。まして一人暮らしなど出来る訳がないと思っていました。
4〜5年前から、自立支援センター代表の稲田さんという方に出逢いました。稲田さんと一緒にいろいろな所に出向き、障害者の 会合で多くの人達と逢い、重度障害者の一人の方が一人で暮らしていることを聞き、その方の助言とか生活の内容とかを聞き、自 分も自立する事が出来ると考え始めたそうです。親は絶対に出来ないと思っていました。自立支援センターの稲田さんから一回一 人暮らしを挑戦させては、と言われました。半信半疑で承知しました。初めは自立生活センターで借りあげているアパートで、ヘ ルパーさんと一緒に月に2〜3回二人で生活を始めました。3ヶ月ほど体験生活をして自信がついたのか、今度は部屋を探すとい う事になりました。不動産屋さんに行き「水戸〜東海」あたりを探した様です。1ヶ月位探してようやく東海に部屋が見つかりました。
部屋が決まってからは明日にでも引っ越しをと言い、親としてもびっくりでした。自分一人ではとても、何も出来ないのではない かと思ってみたり、回りのヘルパーさん達の協力をいただけばなんとか自立する事が出来るのかなと思ったりして、親としてとて も複雑な気持ちでしたが、思いきって承知しました。
本人にはこれからはいろいろな面で大変だよと話していますが、自分でお金の面とか病気になった時など何でも全部やってみると 言っております。
心配ですが、親としては今後どれだけ出来るのか温かく見守って後押しをしたいと思います。協力して下さった皆様ありがとうご ざいました。

お知らせ/ご寄付ありがとうございました      TOPへ

■お知らせ
NPO法人日立太陽の家では2月より「日立太陽の家相談支援事業所」を立ち上げました。主に重症の障害を持つ方を対象に しています。他施設等との連携をとるパイプ役としてサービス提供の調整を行い問題解決のための手助けを行っています。
■ご寄付ありがとうございました
・次の方から寄付を頂きました。(敬称略)12月〜2月
日立厚生医院院長嶋崎和夫 仁和会 善和会 鈴木一江 ソフィアアカデミー 人形劇かくれんぼ 清宮烋子 浅川ちよ  與澤千代子 大森邦子 有馬郷子
・次の方から物品の寄贈がありました。(敬称略)12月〜2月
椎名則夫 村田理恵 有馬郷子 善和会 佐野妙子 匿名 鈴木福江 小林修 青山智子 大森健二 中田美知子 藤田恭子 大森邦子
■平成22年度日立市太陽の家利用者数 30名  男性16名 女性14名

編集後記

編集後記
大震災という辛い経験をしました。でも、その中で励まし合い、助け合い、そして何よりも互いを思いやり、知恵を絞って厳しい 状況の中でも生き抜く術を教えていただきました。太陽の家で出来ること、太陽の家だから出来ることをこれからも皆さんと共に 考え、実行出来ればと思っています。(K記)  TOPへ